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読書のおともに

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2024-01-12から1日間の記事一覧

賢治と「星」を見る(渡部潤一)

宮沢賢治の詩や童話に頻出する天体の描写から、彼の専門知識を探る渡部潤一著『賢治と「星」を見る』。中学時代の孤独感と星空への憧れを共有した著者が、賢治の感性と科学的観察を結びつけ評価。星への深い愛と観察眼を通じて、賢治の内面に迫る詳細な分析…

南北朝正閏問題(千葉功)

南北朝時代の混沌とした正統性争い「正閏問題」を追求した千葉功の著作。教科書記述から火を点けられた激論の背後には、学問と権力の複雑な関わりがあった。教育と政治の影響下での歴史観の形成を解明し、現代にも通じる学問の自由の意義を問う一冊。出版社…

こんな感じで書いてます(群ようこ)

群ようこが40年の執筆人生と極意を語る新刊『こんな感じで書いてます』は、多くの苦労や経験がネタに変わるプロセスをつづった一冊だ。読者と作家の距離を縮める彼女の率直な振り返りとヒントが詰まっており、執筆や人生の豊かさを感じられる内容になってい…

狭間の者たちへ(中西智佐乃)

日常の疲弊を抱える男性の視点を通して、格差や疎外、自己中心的な思考を描く中西智佐乃の「狭間の者たちへ」と「尾を喰う蛇」を収録。社会との距離感に悩む主人公の内面を深掘りし、人間の尊厳とは何かを問いかける作品集。

運び屋円十郎(三本雅彦)

幕末の荒波を舞台にした小説『運び屋円十郎』。時代の変化と人間の価値観の変遷を描く物語で、若き運び屋・円十郎が志を追い求め成長する様を瑞々しく描き出す。著者・三本雅彦の緻密な時代考証により、読者はいにしえの世界に没入できるだろう。文藝春秋よ…

百鬼園事件帖(三上延)

市ヶ谷の大学生甘木と百鬼園こと内田百間の怪異を巡る交流を描いた『百鬼園事件帖』。内田榮造との遭遇と夢を通じて不可解な現象に巻き込まれる甘木が体験する、昭和の怪奇ミステリーや文学小ネタが散りばめられた物語。百閒ファンにおすすめの異色相棒小説…

アンリアル(長浦京)

ヤングアダルト市場に新風を巻き起こす長浦京の新作『アンリアル』。19歳の主人公が超常的能力「特質」に悩みながら警察学校とスパイ組織に身を投じ成長する物語を描く。現代社会の矛盾にも鋭く迫る本作の魅力に迫る。