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読書のおともに

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2024-01-06から1日間の記事一覧

ホロヴィッツ・ピアノの秘密(高木裕)

伝説のピアニスト、ホロヴィッツと彼が愛したピアノ<CD75>の神秘に迫る『ホロヴィッツ・ピアノの秘密』。調律師である著者・高木裕による探究の旅を通し、ピアノ製造の職人技、歴史的ピアニストたちの期待、ピアノ進化の歴史が明かされる。音楽の技術的美…

近代日本暗殺史(筒井清忠)

筒井清忠『近代日本暗殺史』の書評。大衆心理への洞察に富んだ筆致で、明治から昭和にかけての暗殺事件とその背後にある日本人の心性を分析。判官びいきや御霊信仰といった民俗的要素も含め、読み解く。

数の値打ち(ホイト・ロング/秋草俊一郎/今井亮一/坪野圭介訳)

AIとデータ処理技術を駆使し、私小説と大衆小説の言語的特徴を明らかにする文学研究が進展している。葛西善蔵をはじめとする作家の作品解析が示す、個人の内省と社会性の違いは、数値によって新しい視点が提供されている。文学の深層に迫るこの研究の可能性…

本の背骨が最後に残る(斜線堂有紀)

斜線堂有紀が放つ怪奇幻想短編集『本の背骨が最後に残る』。紙の本が禁止された世界、動物に変わる運命の人々、仮想現実での暗黒面など、残酷かつ華美な物語が織り成すダークファンタジー。人間の愚かさと美しさが浮かび上がる、非凡な想像力と深淵を覗く作…

ある限界集落の記録(小谷裕幸)

昭和15年生まれの著者が綴る『ある限界集落の記録』は、過疎化が進む故郷・指野集落の貴重な記憶を伝える。昭和時代の自給自足の暮らしや家族の絆を、手作りの食文化と共に綴った実録。過去の生活を振り返るこの作品は、後世に伝えるべき歴史の証言である。

ナショナリズムと相克のユーラシア(宮田律)

宮田律の著『ナショナリズムと相克のユーラシア』は、第一次世界大戦から現代イスラエル問題までのナショナリズムの影響を考察。ユダヤ民族のアイデンティティや中東政策を様々な角度から分析し、歴史の理解を深める書である。

夢見る帝国図書館(中島京子)

「夢見る帝国図書館」は、中島京子により描かれる図書館の意義とその進化、戦後日本を彩る女性たちの物語。図書館が果たした社会的役割や人々の絆を通じて、文化の継承がどのように行われてきたかを紹介します。

ルミネッセンス(窪美澄)

戦後急速に建設された郊外の団地を舞台にした連作短編集『ルミネッセンス』。ここに住む人々の、未達成の目標がないにも関わらず感じる「こんなはずじゃなかった」という虚無感が、閉塞した空間と重なり合いながら描かれる。窪美澄の鋭い筆致が光る作品。