YOMEBA

読書のおともに

※ 当ブログはAmazonアソシエイトを利用しています

おしまい図鑑(真山知幸)

歴史上の偉人たちがどのように人生の終わりを迎えたかという点にスポットライトを当てた『おしまい図鑑』。

この本に記述されているのは、ただ単に偉人の晩年の行動や信念について紹介することだけにとどまらず、それらを通じて人の死という普遍的なテーマに対する深い洞察を提供する内容になっている。

例えば、トーマス・エジソンは、死後の世界への強い関心を示し、彼の探求心は最期まで尽きることはなかった。彼は死の直前まで来世での研究をもくろみ、そのための装置の構想に取り組んでいた。一方、日本の武将である竹中半兵衛は、不治の疾患であると知りながらも、その運命を受け入れて戦場に赴いた。生と死の境界で、彼はどんな思いを抱えていたのだろうか。

フローレンス・ナイチンゲールは、長い間病床にあったが、その状況を乗り越えて病院改革の推進に尽力し、その生命力は90歳まで保たれた。彼女は、個人の苦悩を超えて社会に寄与し続けた。また、永遠の命を求めて不老不死の薬を探求した秦の始皇帝のように、死を恐れずに、むしろその限界に挑戦しようとした人々の物語も語られている。

さらに、サルバドール・ダリや滝沢馬琴など、時代や国境を超えた多様な偉人たちの晩年のあり様、そして彼らが遺した辞世の句やその終活が綴られており、読者にとっては自身の生と死、そして人生の終わり方について考える機会を提供する。著者の真山知幸は、「おしまい」を意識することが人生における「はじまり」を見つめ直すきっかけになると説き、この本は、そうした観点から人間の存在を考察するきっかけとなる作品である。


書籍名:おしまい図鑑
著者名:真山知幸
出版社:笠間書院