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読書のおともに

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江戸のフリーランス図鑑(飯田泰子)

本書は、江戸時代に独立して職業を持ち生計を立てていた人々の生活を詳細に解説した作品だ。当時の独特な自営業者たちを、あえて現代的な観点から「フリーランス」と称し、興味深く描写している。具体的な史料として江戸後期の貴重な資料である『守貞謾稿』を参照し、絵を交えながらその時代の「フリーランス」たちの職種や働き方を明らかにしている。

江戸の暑い夏の風景は、冷やした水を提供する商人やスイカを売る露天、さらには昆虫を取り扱う業者まで、様々な売り手が賑わいを見せていた。この他にも日常に必要な器具や衣服の露天販売は盛んであり、既に使われた物品を再生させるリサイクルの仕組みもしっかりと根付いていたことがわかる。夜の灯りの元では、奇術や芸能が観衆を魅了し、奇想天外な見世物が人々の興味を掻き立てていた。これらの記述からは、当時の人々のしなやかな生きる力とエネルギッシュな日常が伝わる。

以上の記述を踏まえ、江戸時代の生活者たちがどのような工夫や創意を凝らし、それぞれの立場で生計を成り立たせていたかを魅力的に描写しており、現代の我々にも新たな示唆を与えてくれる。当時を生き抜いた「フリーランス」たちの洞察力と独立心は、時を超えて読者に強い印象と啓発を提供していると言えるだろう。

 

書籍名:江戸のフリーランス図鑑
著者名:飯田泰子
出版社:芙蓉書房出版