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雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々(稲垣栄洋)

雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々(稲垣栄洋)

「雑草学」という分野について、一見すると科学的な要素が希薄に映るかもしれない。だが「日本雑草学会」が存在し、その研究は確固たる学問分野として認知されているのだ。

「踏まれても立ち上がるという雑草魂」という言葉があるが、自然界における雑草の実態はそれとは少し異なる。人々が頻繁に踏みつける場所に生えている雑草は、実際には地表に寝転がるような格好をしている。無益にエネルギーを消費することなく、環境に適応しながら、地味に生きている。

著者は、そうした雑草の生存術が、やたらと目立とうとせず、無理をしないことで長く生き抜くという現代若者たちの生き方と相通じるものではないかと唱える。

生きていく上で派手さや目立つことだけが重視されがちだが、本書を読むことで、地道かつ賢く生きることの大切さを雑草たちから学ぶことができる。人間と雑草との共通点に対する洞察は、自分の生き方について考えるきっかけを与える。

自称みちくさ研究家による、雑草学を中心とした学問と人生観をユーモアを交えて綴った本書は、他者や社会との勝ち負けばかり気になってしまう人にとっては、ホッと一息つかせてくれる優しい一冊になるだろう。


書籍名:雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々
著者名:稲垣栄洋
出版社:小学館