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スポーツの日本史(谷釜尋徳)

スポーツの日本史(谷釜尋徳)

日本におけるスポーツ発展の経緯をたどる『スポーツの日本史』。先史時代から始まり、弓矢に代表される射技などの伝統的スポーツと、近代に入って西洋から導入された様々なスポーツまでが網羅されている。本書では相撲や蹴鞠(けまり)、剣術のような日本古来の遊戯や武術も紹介され、伝統を尊重しつつも変遷していく日本のスポーツ文化の特色が浮き彫りにされている。

明治時代に入り、西洋のスポーツが紹介され取り入れられていく様子は興味深い一方で、それ以前の日本でも大陸からの影響を受けながら独自のスポーツ文化が発展していたことが指摘されている。

例えば、縄文時代から用いられていた弓矢技術や、古墳時代に発展した騎馬技術などは、騎射競技の形成に大きく寄与したとされる。さらに古代日本にも伝来したとされるペルシャ起源の騎馬球戯や、馬に乗ることなく行われていた庶民の打球遊びなど、スポーツの歴史は国境を越えて受け継がれてきたことが紹介されている。

また本書は、古代から現代にいたるまでのスポーツに関わる図版が多数掲載されており、視覚的にも楽しい。かつてのスポーツの様子や動きが、多彩な図版によって想像しやすくなっている。文章と図版を通じて、歴史の中で生きた人々が楽しんでいたスポーツに触れることができるであろう。

豊富な知識をわかりやすく解説しているので、すこし変わった視点から眺める日本の歴史に興味がある読者には、手に取りやすい一冊である。


書籍名:スポーツの日本史
著者名:谷釜尋徳
出版社:吉川弘文館