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世帯年収1000万円のリアルを数字を通して検証する一冊『世帯年収1000万円』(加藤梨里)

世帯年収1000万円(加藤梨里)

世間で「パワーカップル」と称されることも少なくない、収入総額が1000万円以上の共稼ぎ家庭。そいった世帯が実際にどのような生活の実態を、数字に基づき解明している。特に住宅費、教育費、生活費を中心に分析しているのが興味深い。

夫婦それぞれが、平均年収とされる500万円にちかい給与所得を得ており、世帯収入1000万円という家庭は少なくない。そんな家庭でさえ、生計を立てる上で困難を抱えている状態だという。

特に大都市圏で就業していると、住宅価格が高く、共働きながらも住居費に頭を悩ます家庭が少なくない。さらに物価の上昇や、税金、社会保険料の負担増は家計に大きな圧力を与えている。加えて、子供がいる家庭では保育費用も負担が大きい。教育費に関する公的支援の恩恵についても、その支援を受けるための所得制限があり、世帯年収1000万円は支援対象になるかならないかのギリギリのラインであると、本書では指摘されている。

実際の生活に根ざしたさまざまな数字の分析を通じて、高収入と評される家庭が本当に経済的なゆとりを持っているのかに疑問を投げかける一冊だ。


書籍名:世帯年収1000万円
著者名:加藤梨里
出版社:新潮社(新潮新書)