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読書のおともに

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2024-01-16から1日間の記事一覧

ケマル・アタテュルク(小笠原弘幸)

トルコ共和国の建国に尽力したケマル・アタテュルクの生涯を描く伝記。アナトリアの危機から国家建設、神話形成までの過程と私生活に迫る。民族主義と世俗主義の掲げられた新国家の歴史も知ることができる。

ヘルメス(山田宗樹)

人類滅亡の危機と実験地底都市「ヘルメス」を舞台に描かれるSF小説『ヘルメス』。地下で10年間の生活を送る実験参加者や、途絶えた通信、18年後の謎のサインなど、読者を惹きつける謎が満載の作品であり、小惑星の真実までもが謎に包まれる。

絶滅する「墓」(鵜飼秀徳)

死者の埋葬様式とその変遷を追い、現代における墓の問題を検証した『絶滅する「墓」』の書評。少子化が進む中での墓や葬送儀礼の縮小、多様化の意味を歴史と民俗の視点から解き明かす。著者の深い洞察が読む者の考えに影響を与える内容である。

数学者たちの黒板(ジェシカ・ワイン/徳田功訳)

『数学者たちの黒板』を通して、数学のリアリティと数学者の精神世界に迫る。109枚の板書を通じて数学の魅力を伝える評者の視点も織り交ぜながら、数学の本質に迫る挑戦的な書籍を紹介している。黒板一つに数学者の思索が凝縮され、数学の神秘に触れることが…

帝国ホテルと日本の近代(永宮和)

明治から昭和、そして現代へと続く、帝国ホテルの歴史とその逸話を紐解く『帝国ホテルと日本の近代』。フランク・ロイド・ライト設計のライト館や林愛作の功績など、建築の硬派な魅力と近代日本の変遷が交錯する。新本館完成に向けた現代の動きも見逃せない。

日本語人生百景(中村明)

日本語学の権威、中村明が作家96人の随筆を読み解く『日本語人生百景』。向田邦子や内田百閒などの名エピソードを紹介し、原作を読みたくする魅力を持つ。尾崎一雄、永井龍男との対談経験も生かし、表現の秘密に迫る。

江戸に向かう公家たち(田中暁龍)

江戸時代の公家たちの動向を探る『江戸に向かう公家たち』では、幕府依存の経済状況と、京都の文化を江戸にもたらした公家の役割に迫る。勅使や大奥への役割、文化サークルの形成など、公家と武家の交流が描かれる。公家の江戸下向がもたらした影響とは?装…

お帰りやす、天皇陛下。(井上章一/工藤美代子)

『お帰りやす、天皇陛下。』は、井上章一と工藤美代子による皇室と京都の千年にわたる深い関係を探る一冊である。朝廷の女房が担った「美人力」など、文化・歴史を通じて謎を解明し、皇室の文化継承に期待を寄せる対話を展開する。

吉右衛門(渡辺保)

二代目中村吉右衛門の深い芸の世界に入り込む渡辺保の『吉右衛門』。その見識と情熱が光る名著を通じ、歌舞伎の古典が現代にどう生きるかを伝える。吉右衛門の名演を紐解きながら、歌舞伎の魅力を深堀りする書評・感想。芸の進化を経年で記録し、歌舞伎への…

Q(呉勝浩)

社会の「感動」と欲望を深掘りする野心作。被執行者ハチと彼女の兄弟の葛藤、そしてカリスマへの願望と暴力の物語。現代社会の狂気と充足を鋭く描き出す。